過疎化の村を救った「おたまはん」
おたまはんとは
おたまはんとは、世界で初めての「卵かけご飯専用の醤油」として2002年に発売になり、累計30万本を販売するヒット商品です。
発送まで数か月待ちの状態が続くこともあるため、気になる方はこまめにチェックしましょう。
瓶の蓋が赤色の関西風、瓶の色が黒の関東風があります。
この卵かけ専用の醤油「おたまはん」は吉田ふるさと村というところの農産加工部で作られている商品です。
設立以来、地元の農産物を国内産にこだわり保存料などを使わないで製造しています。
株式会社「吉田ふるさと村」のHP http://www.y-furusatomura.co.jp/
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小さな村のヒット商品
吉田村は島根県松江市から車で約1時間くらいのところにある雲南市にありました。
過去形なのは、現在は過疎により地域合併が行われたからです。
この小さな村から「おたまはん」という全国的ヒット商品が生まれました。
おたまはんは現在では、多い時で年間50万本を売るヒットとなりました。
村民からの熱い期待
吉田村は昭和30年代後半の人口5000人から過疎化が進み、地域の存続に対しての危機感が町を包んでいました。
そこで過疎化が進む最大の理由を「この村に仕事場がないことだ」と考え、行動を起こしたのが「株式会社吉田ふるさと村」を作ったメンバーです。
活動資金の一部は「村民のための会社」という理由で、一株5万円で村民から公募で集まったお金でした。
歳の若者から85歳のお年寄りまで「村をなんとかしてほしい」と、100人を超える村民から2750万円もの金額が集まりました。
村を第一に考えた最初の事業
まず最初に㈱吉田ふるさと村が取り組んだのは「水道事業」です。
村には当時水道業者が存在せず、水道に問題が起きた場合、何十キロも離れた業者に委託していました。
そこで株主の土木建築業者の社長へ協力を仰ぎ、スタッフに水道工事の資格を習得させ事業を始めます。
その結果水道事業は、一時期は吉田ふるさと村の約半分の売り上げを獲得する事業となりました。
たまごかけごはん専用醤油の誕生
㈱吉田ふるさと村は「一人ではなくみんなのために」という意識を常に持った上で事業を運営しています。
一社員による発案で生まれた、今でこそ大ヒットしている「おたまはん」も、すぐに商品化出来たわけではありませんでした。
営業先の卵屋さんから「卵が売れない、何か卵が売れるような商品を開発してほしい」という相談が発端となっています。
ここでも「村のための行動」が起点なのです。
モニタリングでの誤算
ここから卵とセットで売れるような商品を社員で検討し、もっともポピュラーなたまごかけごはんに着目しました。
専用の醤油を作ってみようという発想を元に、社員全員の何百食という試食の結果、改良を重ね商品となっているのです。
ただ、すぐにこれを販売したわけではありませんでした。
同社の商品の販売量の3割は関東でした。商品は「東京で売れないとダメ」というコンセプトがありましたが、首都圏の主婦モニターを使って調査をした結果、購入してもいいという人は半分以下だったとのことです……。
更なる商品改良と好機
そこで同社は醤油の嗜好の違いに注目します。
結果、関西風、関東風に2種類を作り販売をはじめました。
そしてその後に開いた「日本たまごかけご飯シンポジウム」をきっかけに人気は更に急上昇します。
イベント最終日には電話が止まらず、最高で注文してから手元に届くまで、4か月待ちという状態の時もあったとそうです。
このイベントはネットでも広がり、全国的な話題となっていきました。
日本たまごかけご飯シンポジウムは、昨年で10回となっており、アレンジしたたまごかけごはんの出来を競う「TKGチャンピオンシップ」には7ブースも出店されるほどの人気となっています。
個人的には2位の、穴子とひねポンを添えられ、ネギとかつおがたっぷり入った「播州姫路玉かけめし」がとても気になりますね^^
日本たまごかけご飯シンポジウムのページはこちら
使用者の反応
おたまはんは、Twitterでの反応もとても好評となっています。
おたまはん以外のTKG醤油は認めない。
ベルクで食べて美味しかった、卵かけご飯専用醤油おたまはん関東風を買った。朝が待ち遠しい。
美味しいですよね。やっぱり関東風が好み。
また同社では、おたまはんの生産地、雲南市吉田町で取れたコシヒカリとたまご付きのセットも売っています。
卵かけごはん専用醤油の火付け役ともなった「おたまはん」が卵かけご飯セットに!!吉田ふるさ... |
ちなみに関西風の味付けは、みりんで甘みを増しているそうです。
二種類購入して、それぞれをいかしたトッピングを加えるなんてのもありですね。
それにしても安いですよね。
一本で500円くらいするのかなと思っていました。この良心的な価格も人気の理由なんでしょうね。
まとめ
様々なマーケティングや成功哲学系の本の中に出てくる極意の一つに『まず与えること』というのがあります。
株式会社吉田ふるさとむらの核はここにあるのではないでしょうか。
村の存続と村民を第一に考え生まれた株式会社吉田ふるさと村。
村のためを思い始めた水道事業に、営業先からの相談によって生まれた「おたまはん」
どの歩みも誰かのための行動となっています。
ヒット商品を作ろうと近道を考えるのではなく、自分が誰かのために出来ることを、とことん追求して進んでいくことが多くの人に認められるサービスや商品を生むのかもしれませんね。
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