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著作権侵害なのか?東京五輪エンブレム問題を解説。会見動画&その要点も紹介(追記あり)

更新日:

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商標は?パクリ?どうなるの東京オリンピック

2020年東京五輪・パラリンピックのエンブレムがベルギー在住のデザイナー、オリビエ・ドゥビさん(52)の作品と似ているとの指摘があった問題で
2020年東京五輪の公式エンブレム制作者のアートディレクター、佐野研二郎さんと大会組織委員会が5日に記者会見を開き、佐野氏は「事実無根」と指摘を否定した。

ドゥビ氏もこれに反応

更にこの記者会見に対しドゥビ氏は
「問題はないとはびっくりだ。エンブレムとロゴはすごく似ている。デザインは違っていても、最終的に作品は驚くほど似ている。
佐野氏に対してどうコメントしていいか、困惑している」と話した。

 
争点となっているデザインはこちらです。

PB1-7

日本経済新聞より:http://www.nikkei.com/

 

左がドゥビ氏がデザインしたベルギー、リエージュ劇場のロゴ。

右が佐野氏デザインの東京オリンピックエンブレムです。
 
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ちなみにこれまでの歴代オリンピックのエンブレムはこちらです。

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参考画像:LOGO市ブログ

出典元のブログでは、各画像の大きなものも掲載されています。
 

二つの権利……しかし

 
今回の件は「商標」としての問題、そして「著作権法での美術作品」としての問題があります。

さて商標、著作権、共にどのようなものでしょうか。

商標とは?

商標とはロゴマークなど、企業や商品を連想させる画像などを指します。

以下のロゴマークは、みなさんも見たことがあると思います。

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この商標を申請し「登録」することにより、商標権として効力が発生します。

これにより「類似する商標の使用を禁じる」ことができる「禁止権」を行使することができるようになります。
 
ただしその商標を登録以前から使用していた者は、引き続き使用する権利を有することができます。

※その場合、商標を使用していたことが需要者の間に広く認識されている必要があります。

 
商標としての権利を主張するには登録が必要ということですね。
 

著作権とは

 
今回のロゴは、絵画や彫刻などと同じ
「美術の著作物」にカテゴリーされる著作物です。
 

著作物となるためには

 
美術の著作物と認められるには
「思想または感情を、創作的に表現したもの」であることが必要です。

ですので「機械的に複写したもの」など著作物とはなりません。

また美術の著作権は「作品を表現した時」から発生しており、登録の必要が不要な権利となります。
 

商標とは割と反対な権利ですね。
 

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ドゥビ氏側の主張と有する権利

 
ドゥビ氏は今回の件に関し
「使用停止を求める書面」
を提出しています。

また、今回の佐野氏の会見に対しこんなコメントも残しています。

東京側は、わたしが(商標を)取っていないことに安心しているようです。
しかし二年前から私のロゴは存在しており商標が必要のない「著作権」で守られている。

 

登録をしていなかった

 
そうです。リエージュ劇場、及びドゥビ氏はロゴを商標として登録していなかったのです。

「商標権」を持っていないため、先ほど記述した「類似する商標の使用を禁じる」ことができる「禁止権」を行使することはできません。
 

東京5輪側は

 
対する東京五輪側は
「世界商標を取っているため、商標の問題は既にない」と発言しています。

このことからドゥビ氏は著作権面での主張をしていると考えられます。
 

著作権での問題

 
ドゥビ氏の言うように「ベルギー劇場のロゴ」の著作権はドゥビ氏が持っています。

ドゥビ氏は佐野氏の作成したエンブレムが「自分のロゴに影響を受け作成している」=複製権の侵害を主張していると思われます。
 
デザインをパクっているという主張ですね。

 

複製権の侵害

この主張には、ロゴとエンブレムが似ている事は勿論ですが、その著作物を
「模倣」して作っているか「依拠」して作成しているかどうかが重要となります。
 

つまり佐野氏が「ベルギーロゴのデザイン」を実際に見たことがあり、参考にした事実があるかどうかです。

著作権法的には、二つのデザインが偶然似てしまった場合は権利侵害とはならないのです。
 


 

判断が難しい

 
双方、また東京五輪委員会にとってこの点が非常にやっかいな問題だと思います。

現在は見ようと思えば、世界にある様々なロゴはインターネットを通じて簡単に見ることが出来ます。

更にいえば、そのデザインが商標登録されているかどうかを確認し、デザインをぱくることも可能でしょう。
 

佐野氏のデメリットが大きすぎる

 
ですがデザイナーとしてこれまでも業務をこなし、さらに功績を残している佐野氏がそんなことをするのでしょうか。

東京五輪という巨大な看板を背負ってまでするには、ばれた際の代償もあまりに大きいです。

逆にですよ……
 

ドゥビ氏のメリットは?

これ、言ったもん勝ちですよね。

ドゥビ氏の品性を現時点で疑うのはフェアではありません。

ですがリスクがほとんどなく、売名目的や金銭面で考えた場合メリットが非常に大きいんですよね。
 

2015年8月5日の会見動画

 
ちなみに、5日の会見では佐野氏はデザイン面での依拠がないことも主張しています。

動画では10分14秒~13分55秒になります。
 


 

会見での佐野氏の主張

 

デザイン面での主張

自分は東京のT、ドゥビ氏はtheaterのTをモチーフにしている。

またシンプルさを主軸にして作っている。

そのため、ある部分を切り取れば確かに似ているとは要素はあるといえる。

しかし、全体で見たときには似ているとは感じない。

 

ドゥビ氏はTとリエージュ劇場のLを使用している。

自分はTと円、そしてパラリンピックのエンブレムと対比しているように作っているため、作り方から違っている。

 

依拠への否定

こちらは主に記者への質疑応答時での発言です。

ベルギーに行ったことも無ければ、ドゥビ氏のロゴを見てもいないので模倣ではない。

ネット上では過去作品へもパクリ疑惑が出ているという質問に対し、これまでの作品で何かを模倣したということはないとのこと。
 
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新たなドゥビ氏の主張

 
記者会見内で、とある記者からこういった発言がありました。

「ドゥビ氏はロゴを『ピンタレスト』というデザインを見れるサイトにアップしており、これは世界中のデザイナーが見るサイトだと主張しています」

佐野氏「(今回のデザインを作るに当たり)見ていません。今回の件で何かのデザインを参考にしたということはありません」

と返答。

重大発言と予想

こちらのピンタレスト、みなさんご存知でしょうか。

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新興企業ながら、一時は企業評価額が10億ドル(約1200億円)を超える「ユニコーン」企業の一つとして、上場が期待されたピンタレスト。

3月半ばには新たに3億6700万ドルを調達。創業5年で調達総額は10億ドルを超え、企業評価額は、今や110億ドル(約1兆3000億円)にも達している。

参考:東洋経済オンラインhttp://toyokeizai.net/
 
日本での知名度はそこまで高くありませんが、海外では一部で強い人気のサービスの様です。
 

強いサービス。……だからこそ

 
確かに大きいサイトです。

サイト表記によると500億以上の画像を保有しているとのこと。

ドゥビ氏はその
500億以上の画像から
対象ロゴを見つけ
世界的な東京5輪

のデザインに模倣した。

そう主張しているのです。

 

無理ないですかねこれ 笑
 

発言の心理を読む

 
リエージュ劇場が観光地として有名であったり、ロゴ自体が既に有名なら

「どこかで見たことがあったんだ!だから自然に真似したんだ!」

といった依拠性の主張はごく当たり前のものとなります。

 
(海外では)有名なピンタレストというサイト名を出したのは、ベルギーのリエージュ劇場の知名度が高くないことを自覚しているからこその発言ではないでしょうか。

 

動画の個人的感想

 
ちなみに会見を最後まで見ましたが、佐野氏の会見での発言や問答はとても好感が持てました。
 
逆に一部の記者の質問がレベルが低いことや、質問の内容がほぼ重複していることが酷かったですね。

精神面を聞くことや、過去作のパクリ問題への質問は注目されるであろうし、彼らも仕事だから100歩譲って仕方がないと思います。
 

ですが重複質問や、一回の挙手に対し一回の質問でお願いしますといった「会見冒頭での注意」を守っていない記者は、プロとしてどうかと思います。

堂々とした五輪委員会も印象的

 
五輪委員会も、ドゥビ氏への対応は黙殺などせず、正式な対応をしていくとのことです。

世界的な商標も取っており、弁護士などの見解的にも問題が無いとのことなので堂々としているんでしょうね。

現時点でスポンサーからの懸念なども寄せられてはいないそうです。
 

まとめと今後の予想

 
ドゥビ氏側からすれば、売名行為であった場合、既に目的は達成されています。

もし今後もピンタレストを主軸とした主張の場合は、今後かなり失速していくのではないでしょうか。

 

また佐野氏の今回のデザインには、以前から賛否がありました。

しかしパクリ問題とデザインの良し悪しは、一緒に考えるべき問題では絶対にありません。

ひとまずは今後のドゥビ氏の発言に注目していきたいと思います。

 

※以下2015年9月2日追記

 
佐野氏が自身のエンブレムを取り下げました。
 

当ブログでは「佐野氏は盗作していない」という姿勢で記事を書きました。
 
もしこちらの記事と現在の状況を見比べ、混乱させるようなことがありましたら申し訳ございませんでした。

 

デザイナーとしての責任

 
私の認識でのデザイナーの仕事は「自身でデザインを1から最後まで書き上げる」といった事だけではなく
 
クライアントのコンセプトを理解し、案件を部下、又は外部会社や下請けにまわす。そしてその後、その案件をチェックしクライアントに納品する、といった事もしています。
 

佐野氏はオリンピックエンブレムに関しては「自身が1から書き上げた」と会見で述べています。
 
ですが、ネット上で話題にされている様々な盗作疑惑に置いては、佐野氏の関与具合がどこまでかは、現状の情報だけでは判断できません。

 
と擁護したいのですが、あまりにも疑惑が多すぎるのも問題ですね、、

もし佐野氏の盗作ではなく、部下や外部会社が全てを行っていたとしても、監修としての責任が果たせていません。

ただし、ここでも擁護させて頂くなら佐野氏のもとにたくさんの作品が集まり、そこから盗作を見つけることは非常に難しいと思います。

 
そしてそれは今回の東京オリンピックのエンブレムの組織委にも同じことが言えます。
 

オリンピック組織委員会の責任

佐野氏のエンブレム撤回の決定打となった「エンブレム展開案」は、選考時から既にあるようです。

理由は8月28日の会見での「佐野氏のエンブレム選考理由として『展開案が優秀だった』」との委員会側の発言です。

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問題となったエンブレム

http://randomwire.com/copycat-olympics/ より

組織委員会は、佐野氏がエンブレムを取り下げたことで、新たなエンブレムをまたも公募で選考する予定です。
 

私個人としては、エンブレム問題を佐野氏1人だけに押し付け、組織委員会のメンバーも誰一人として変更なく、再度選考に踏み切るのは疑問が残ります。
 

もしも再度決定したエンブレムにまたも問題があった場合、委員会はどう対処するというのでしょうか。
 
そのプランも発表しないままでは、またも同じ結果になってしまうと思います。

最後に

 
長々と書いてしまいましたが、今後はより多方面から物事を判断し、記事の精査を上げていきたいと思います。

 
 

それでもドゥビ氏は(リエージュ劇場の)言いがかりだと思うけど!!
 
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