こちらの記事ではテフロン加工やフッ素加工、マーブルコートといった「一般的なフライパン」を少しでも長持ちさせる方法をまとめました。
「テフロン系はすぐにダメになる」という印象を持つ方もいるかもしれません。
しかし使い方や洗い方に注意すれば1年はもちろん、2〜3年使用することも可能です。
特に以下の5点に注意することで、フライパンは驚くほど長く使用することが出来ます。こちらを順に掘り下げて解説していきます。
- フライパンは温めすぎない
- 調理時の火力は中火以下に
- 金属ヘラは使わない
- 料理のいれっぱなしを避ける
- 研磨剤入りのスポンジは選ばない
フッ素加工・テフロン加工とは
注意点についての前に、簡単にですが「テフロン加工」について解説させていただきます。
このテフロン加工とは、アメリカの化学会社「デュポン社」のフッ素樹脂の商標登録を指します。
つまりテフロン加工とは、フッ素樹脂加工の「商品名」となります。
これをラップに置き換えて説明すると「食品用ラップフィルム」の商品名が旭化成の「サランラップ」となります。
下記の様にテフロン、マーブル、ダイヤモンドコートといった名称は、大枠で言えば全てフッ素樹脂加工となるのです。
進化しているフッ素樹脂加工
フッ素樹脂加工は様々な研究がされ、現在はマーブルコート、ダイアモンドコート、チタンコートなど、様々な商品が出ています。
例えばダイヤモンドコート加工は、非常に硬い粒子である「人工ダイヤモンド」をフッ素樹脂に混ぜてコーティングした表面加工方法です。
人工ダイヤモンドを混ぜることにより、大幅に耐久性を上げることに成功しています。
ただし加工原理は同じであるため、これから解説していく「テフロン加工フライパンにおける注意」は、基本的にはダイヤモンドコートでも同様のことが言えるのです。
ですので、テフロン加工のフライパンのお手入れを調べようとした方だけでなく、ダヤモンドコート、チタンコーティングといったフライパンをお使いの方もぜひチェックしてみてくださいね。
ということでフライパンを長持ちさせるためのポイントを解説していきます。
【空焚きに注意】テフロンフライパンは温めすぎない
テフロン加工・フッ素樹脂加工は「高温」に非常に弱いです。
そのためこのような点に注意が必要です。
- 空焚きは「水滴を落として、水玉になり弾ける程度まで」
- 調理は中火で行う
空焚きに注意!でもどこまでなら大丈夫?
テフロン加工のフライパンは、高温に弱いため「空焚き」は厳禁です。
フライパンを最初に熱するのもだめなの?
いえいえ!そんなことはありません。それでは食材が焦げ付いてしまいますよね。
焦げ付きもでフライパンにダメージを与えてしまいます。
そこでフライパンの上に水滴を落として判断することで「熱しすぎの状態」を避けることが出来ます。
ここまでなら大丈夫!水滴で見極める!
調理の最初にテフロン加工のフライパンを熱する際は「水滴を落として、水玉のようになり弾ける程度まで」に留めましょう。
すぐにジュッと消えてしまうようでは、温度が高すぎます。
この状態まで待つ方、多いのではないでしょうか?
テフロン加工のフライパンは、熱しすぎないように注意することで寿命がぐっと延びます。
次に使用する火力です。
【中火が最適!】テフロン加工のフライパン 火力は抑える!
テフロン加工は高温に弱いため、フライパンを使う際は「中火以下」で使用するのが適しています。
テフロン加工は高温に弱い
テフロン加工のフライパン耐えられる温度は「260度」です。
260度、と言ってもなかなかピンと来ないかもしれませんが、フライパンは火をかけたままにすると、空焚き状態の場合、1分もしないうちに表面の温度が200℃を超え、その後すぐに300℃以上になってしまいます。
フライパンの温度が300度以上に上がってしまうと、一気にテフロン加工の損傷が始まり、耐久性も著しく下がってしまいます。
「熱したフライパン」260度まで 空焚き一分で300度以上に!
300度を超えると一気にテフロン加工の損傷が……!
しかし強火でないと美味しい料理が作れないわけではありません。
通常、調理に適切な温度は160℃から、どんなに高くても180℃までと言われています。
基本的にほとんどの調理では200度を超える強火での調理は必要がないのです。
中火ってどのくらい?
とはいえ、中火といっても「どのくらいの火力か」いまいち分かりにくいですよね。
これは具体的には「鍋底に火が当たるか当たらないか」程度の火力です。
実際に定義するのはなかなか難しいですが、以下の画像のように「鍋全体を覆うような火力」や「フライパンからからはみ出るような火力」は「強火」になってしまいます。
フライパン内に収まり、炎の先が見えるくらいの火力でしたら中火にあたりますので、この程度がテフロン加工フライパンにはオススメです。
でも野菜炒めなんかも強火だと水分が出にくい気がするし……
確かに野菜炒めなどで水分を出さずに調理するのに「強い火力での調理」はポイントの一つです。
しかしそれは既に「フライパンのキャパ(限界)」を超えた調理となっています。
美味しい調理の条件は火力ではなく作る量!
少し脱線してしまいますが、びしゃっとしていない野菜炒めにするのでしたら「使用する食材の量を減らす」ことでテフロン加工の火力でも十分に美味しい野菜炒めを作ることが出来ます。
逆に言えば、高火力が使用できる鉄のフライパンであっても、フライパンに適した量を超えてしまえば、同じく水分量の多い野菜炒めとなってしまいます。
「美味しいチャーハンを家庭用の火力で作るなら1人前で作る」といった言葉を聞いたことはないでしょうか?これはチャーハンだけでの話ではなく、炒め物全般に言えることなのです。
強火で調理したほうが美味しい?
- 「厚いステーキをこんがり焼きたい」
- 「餃子の表面をパリッと仕上げたい」
- 「チャーハンをパラッと調理したい」
高火力を使用することでより美味しくなる料理や調理もあります。
実際にTVやCMなんかでも、中華やフレンチのシェフが高火力で調理している姿はとても格好よく、出来上がった料理も美味しく見えますよね。
しかしこういった調理は残念ながら「熱に強い鉄のフライパン」に最適な調理です。
テフロン加工のフライパンでも可能ではありますが、プラスのネジをマイナスドライバーでこじ開けるように、道具の寿命を代償にしてしまうため注意が必要です。
マーブル・チタンも高熱に弱いの?
フッ素加工、テフロン加工から進化した「マーブル、ダイヤモンド、チタン」といった加工コーティングは、テフロン加工に比較すると熱や傷に対して耐久性が強く作られています。
ですがコーティングの原理はテフロンと同じであるため、弱点も基本的には同様であり、注意すべき点も変わりません。
そのためフライパンを長く使用したいのであれば、テフロン加工と同じように注意することが「少しでも長く使用するコツ」です。
テフロン加工・フッ素樹脂加工は実は非常に熱伝導が悪いです。そのためフライパンがなかなか温まらないと感じて強火にしてしまいがちです。
金属ヘラは使わない
テフロンフライパンは、フライパンの表面に非常に薄い膜状の素材を何層にもコーティングして作られています。
フライパンの表面に極薄のラップをぴたーーっと貼り付けてあるイメージですね。
そのためこの膜に傷がついてしまうと、そこから塩分や油分が侵食し、コーティングが剥がれていってしまいます。
金属ヘラは、木べらやシリコンベラと比べ、端が鋭利になっています。
金属ヘラは鉄製のフライパンでの使用は問題ありませんが、コーティング系フライパンには絶対に使用してはいけません。
フライパンの売り文句として「金属ヘラも使用可能!」といったことがよく記載されています。しかしこういった記載のあるフライパンでも、長く使用したいなら金属ヘラの使用は避けるべきです。
これはホットプレートにも同様であり、長く使っても焦げ付かない様にしたいのでしたら、こちらも金属ヘラの使用は避けるべきです。
まさに私の実家なのですが、父が「お好み焼きには金属ヘラ!」と謎のこだわりを持っていたため、一般的なコーティング系ホットプレートにがっつり金属ヘラを使用していました。思い返せば焼きそばが焦げていることが多かった記憶があります……。
私の頑固オヤジの様に「どうしても金属ヘラを使用したい!」という方は、鉄製のフライパンや、鉄製のホットプレート、またガスコンロ用の鉄板プレートなどを購入しましょう。
また他にも「ちょっとだけなら……」と、フライパンの上にある具材を包丁やナイフでカットするのもNGです。
(卵焼き用のフライパンで何度かやりました……もうしません)
もし焦げ付いてしまったら……?
これまで焦げ付きを金属ヘラでこそげ取っている方は、フライパンの寿命を延命させるにはすぐに辞めることをオススメします。
今後このような焦げ付きは、フライパン内で熱湯を数分沸かし、焦げを浮かせてから木べらやシリコンのヘラで出来るだけ小さい力で取りましょう。
料理のいれっぱなしを避ける
先ほど金属ヘラのところで”フライパンの表面は薄い膜が何層にも渡ってコーティングされている”ということをお伝えしました。
実はこのコーティングは、非常に細かな「穴」が無数に開いた状態になっています。
調理の終えた料理をテフロンフライパンに入れっぱなしにしてしまうと、こちらも塩分や油分が侵食し、結果コーティングの欠損の原因になってしまいます。
フライパンで調理を終えたあとは、なるべく早くお皿に盛る、またはジップロックなどの保存容器にしまうなどし、フライパンの上から食材を片付けてしまいましょう。
洗い方に注意-熱々のフライパンに水はNG-
フライパンで炒め物を作り、作ったものはお皿に盛りつけ。その後、フライパンが熱いうちに水道でジャーーー!ってやっていませんか?
これもフッ素樹脂加工のコーティングがはがれる原因となります。
はい、、、これ私しっかりやっていました。
汚れがすぐに浮き出てくれるので「洗い物が楽になる」と思ってやってしまっていました。
洗い物は楽になっても、この方法はフライパンの耐久度が大幅に下がってしまうんですね。
フライパンも膨らんだり縮んだりする
理科の時間に習ったように、物体は熱いものは膨張し、冷たいものは縮む性質があります。
これはフライパンも同じです。
調理中に温度が上がったフライパンは極わずかに膨張しており、そんなフライパンを冷たい水で一気に冷やす事により、フライパンは縮んでしまいます。
その結果「テフロンのコーティング」がこの伸縮に耐えられず、小さな傷や穴が出来てしまうわけです。
傷や穴が空くという事は、コーティングとフライパンの間に油などが染み込みやすくなり……先ほどのケースと同様、コーティングがはがれやすくなってしまいます。
フッ素樹脂加工のフライパンの洗い方
このように急激な温度差によってコーティングに傷がついてしまうため、調理後のフッ素樹脂加工のフライパンを洗う際には、フライパンの温度が自然に下がるのを待つ必要があります。
でも「とろみをつけた料理後の洗い物」など、すぐに洗いたい場合もありますよね。
そんな場合は、熱いフライパンに「冷たい水」ではなく「熱湯」を注ぎ入れましょう。
こうすることで温度差が生まれることを防ぎ、コーティングの剥がれも起きにくくなります。
研磨剤入りのスポンジは選ばない
テフロン加工のフライパンは、傷に弱いことは金属ヘラのケースで十分に理解いただけたかと思います。
そのためフライパンを洗う際に使用する道具にも注意が必要です。
タワシや金属タワシで洗わない
硬いタワシ、スチールウールをはじめとする金属タワシなどの使用は、フライパンに傷がついてしまうため、テフロンフライパンを洗う際には避けるべきです。
そしてもう一つ注意しなければならないのが「研磨剤入りのスポンジ」です。
使っていませんか?研磨剤入りのスポンジ
現在は上記画像の様に「研磨剤付き」または「研磨剤入り」「研磨粒子入り」と表記されたのスポンジが販売されています。
研磨粒子入り・なしのスポンジの違い
この研磨剤入りのスポンジは、焦げや汚れを落とすのに向いているのが特徴です。
反面このスポンジは、汚れなどを「硬い素材」を使用してでこすり落とすことになるため、食器やグラスなどに傷がつくことがあります
対して研磨剤が入っていないスポンジは、表面の汚れだけを落として洗うため、汚れをこそげとる力は弱いものの、食器にキズが付きにくいスポンジです。
つまり、コゲを落として「磨く」時と、油汚れなどを「洗う」時とではキッチンスポンジを使い分けるのがオススメです。
またあまりオススメはできませんが、スポンジ面には研磨剤が入っていないことが多いため、こちらの面で洗うというのも選択肢の一つです。
フッ素加工のフライパンや鍋グラスやガラス食器、ステンレス製のシンクなどは表面にキズが付きやすいため「研磨粒子なし」のキッチンスポンジを使いましょう。
余談ですが、スポンジの使い方についても簡単に解説させていただきます。
スポンジの使い方
先ほどの画像にもありますが、スポンジの硬い面はナイロンなどの繊維を絡めて接着した「不織布(ふしょくふ)」と呼ばれています。また柔らかい面はポリウレタンを発泡させた「スポンジ」で出来ています。
基本的にスポンジはスポンジ面で洗剤を泡立て、不織布面(ふしょくふめん)と言われるゴワゴワした面で洗う様にできています。
スポンジのパッケージの裏面の品質表示部分に「研磨粒子なし」と記載があったらテフロンフライパンにぴったりのスポンジです。
スポンジを購入するときにしチェックしましょう
まとめ
テフロン加工のフライパンは
- 空焚きに注意する
- 調理時は中火まで
- 金属ヘラは使わない
- 料理のいれっぱなしを避ける
- 熱々のフライパンに水を入れない
- 研磨剤入りのスポンジは選ばない
このような点に注意することで長期にわたって焦げ付かずに使用することができます。
火力に強い鉄製のフライパンも魅力的ですが、テフロンフライパンは軽くて取り扱いやすく、値段も安めのコスパの良いフライパンです。
あなたお気に入りのフライパンを少しでも長く使ってあげてくださいね。