こちらでは夏目漱石の心を読んだ感想を書き記しています。
夏目漱石の心を、どういう作品か全く知らずに初めて読みました。
私は誰しもが「自分とは何か」と考える時期があるのではないかと思っています。
もし今そんな悩みを持ってこのブログを読んでいられる方がいたら、この夏目漱石の心を読んでみて欲しいです。
あなたは憧れる人はいるでしょうか。こうなりたいと言う人はいるでしょうか。
主人公から見た「憧れる人」である「先生」にも深い悩みがあり、常日頃「葛藤」を抱えて生きています。
心はこんな話
私は一切の情報なくこの話を読めて良かったと思います。予想はできつつも展開に驚き、本を楽しむことができました。
ですので、この時点で本がどんな内容か気になる方はブログを閉じてくダサい。
それでは私なりにネタバレをしない程度のあらすじを。
学生である主人公「私」は、仕事に就かず妻と東京で暮らす男にどこか惹かれ、彼を「先生」と呼び親交を深めます。
交流をするにつれ「先生」のことをより知りたくなり、先生の過去を聞こうとしますがなかなか聞くことができません。
そのうちに「私」は病気の父の状態が悪く、地元に一時帰ることになります。
そこに先生から届いた手紙は、自身の過去の告白と共に書かれた遺書でした。
心で救われたこと
私はこの作品を読んで「Aという感情、そしてそれに矛盾するBという2つ感情が自分にあっても、また他人にあっても、それはなんらおかしくない」ということが分かったのがいちばんの収穫でした。
物語上の言葉で言うならば「娘に結婚してほしい」と「誰にも取られたくない」は2つとも親として当然の感情です。
以前の私でしたら「どちらかに決めないといけない」「決められないのはおかしい」とどこかで思っていました。
ですので「あなた、矛盾してない?」と誰かに言われたら「とても嫌だ」と言う感情が存在していたと思います。
でもこれからは「矛盾しているよ。でも両方とも私の気持ちだよ」て言えばいいじゃないと思いました。
以降ネタバレあり でこの作品での疑問
この作品を読んでひとつ疑問が残りました。
先生は両親を亡くし、その後「叔父」が世話を焼いてくれました。
その際両親は先生に財産を残していき、叔父はそれを管理し、その財産を先生を育てるための養育費としても使っていました。
しかし叔父はその財産を愛人や事業の立て直しにも使っていたことが分かります。
これがきっかけで先生は叔父を憎み、人間不信となってしまいます。
話は変わり、その後先生は地元から離れ東京で暮らします。
その中で困窮する友人「K」に救いの手を差し伸べ、自身の恋する「お嬢さん」がいる下宿先で一緒に生活することを提案します。
しかし先生はお嬢さんとKの距離が近くなっていくことに危機感を覚え、結果Kを追い込むような発言や裏切りとも言える行為をし、Kは自殺してしまいます。
わたしは叔父の行為を先生が「裏切った」と表現している際には先生に感情移入し「叔父は酷いやつだ」なんて読み進めていました。
しかし先生がKへ「策略とも言える言葉」をかけた辺りで思ったのです。
叔父は本当に悪い人だったのか、と。
叔父と先生は同じではないのだろうか
もしかしたら叔父は、両親を亡くし頼る人を無くした先生を哀れみ、優しさから先生に助けの手を差し出した。
しかしそれとは別に自身の事業があまりうまくいかず、先生の両親が残した財産につい手を出してしまったのではないでしょうか。
最初は「後で返すつもりだった」のかもしれません。悪気はなかったのかもしれません。
先生を思う優しさも本当であり、自身の事業を悪を犯してでも優先するのも本当であり、2つは矛盾しているようで成立もするのではないのかと思いました。
先生のKへの優しさや友情も、お嬢さんへの愛情からのKへの裏切りも両立してなんらおかしいものではありません。
先生が遺書を送った後に自殺をしたのかどうかは作品では描かれていません。
遺書を書いた後に先生は叔父と自分を重ねることはあったのか、叔父を許す気には最後までなれなかったのか、この点がとても気になりました。
夏目漱石 心 まとめ
ということで「構造設計が優れている」とされる「過去の名作」を読んでみたいと思い、心を読んでみました。
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【ドラゴン桜2から学ぶ】読解力を伸ばす=本を要約する
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大正3年(1914年)から朝日新聞で連載されたとされる、私にとっては「とても古い作品」です。
読み始めはなれない言葉遣いなども出てきましたが、読み終えて「この時代にすでにこんな作品が出ていたのか」と感じました。
恋愛や人の死など、強く心が揺れ動く様は今も昔もそう大きくは変わらないのか、と感じました。
これからも定期的に過去の名作を読んでいこうかと思います。
ということでとりあえず2冊ポチりました。