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藤本タツキ「ルックバック」に散りばめられたオマージュと想い

更新日:

2021年7月19日に少年ジャンププラスで公開された読み切り漫画「ルックバック」が面白すぎました。

感想や「この作品に影響されているんじゃ?」といった気付きを述べていきたいのですが、その前にまだ読んでない人は是非一度読んでみてください。

とりあえず2〜3分ページだけでも読んでみてほしいです。

私の感想、めちゃめちゃ面白かったです。

感情を揺さぶられまくです。

いろんなシーンで胸が締め付けられたり熱くなったりと大忙しでした。

 

1回目はそんな大忙しで読んだのですが、2回め、3回目と読んだりネットの反応を調べたりしていて気がついたことが。

このルックバックにはいくつかのオマージュが隠されていました。

 

この作日に散りばめられたもの

藤本タツキ著者の「ルックバック」には多くの想いが散りばめられています。

  1. Oasisの「Don’t Look Back in Anger」
  2. 映画「ワンスアポンアタイムインハリウッド」
  3. 京アニ放火事件への追悼

Oasisの「Don’t Look Back in Anger」

何故「Don't Look Back in Anger」なのか

2017年5月22日、イギリスのマンチェスター・アリーナで自爆テロとみられる事件が発生しました。

これは歌手「アリアナ・グランデ」の公演終了後、観客が帰り始めた頃にエントランス・ロビー付近で爆発が発生。コンサートの観客らと実行犯を含む計23名が死亡し、59名がけがを負ったという事件です。

マンチェスター・アリーナに於ける爆発物事件:https://ja.wikipedia.org/wiki/

その後同年5月25日、犠牲者を追悼するための集会で一人の女性がある曲を歌い始めます。

そして集まった人々が呼応し、合唱となった曲それがoasisの「Don't Look Back In Anger」です。

 

何故この曲なのか、また歌詞の意味などはこちらのブログが詳細をまとめています。

http://vimclip.jp/oasis-dont-look-back-in-anger/ 

主人公のラストに重なる

Don't Look Back In Anger、怒りを振り返るなという意味です。

この曲は1995年にリリースされており、当時のオアシスはテロへの言葉を刻んだものではありません。

しかしこの曲の「起こったことに対して冷静になろう、前を向こう」というメッセージが多くの人の心を動かしたのだと思います。

 

漫画の中でも主人公は「犯人に復讐する」「憎悪を抱く」という終わり方ではなく、前を向いて「漫画を描く」という前向きな終わり方になっています。

これはDon't Look Back In Angerのかしと同じ部分があるのではないでしょうか。

 

映画「ワンスアポンアタイムインハリウッド」

ワンスアポンアタイムインハリウッドはどんな映画?

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドは、クエンティン・タランティーノ監督脚本の映画でレオナルド・ディカプリオ主演の映画です。

ブラッド・ピットとの共演も話題でした。

他にはスーサイドスクワットなどで「ハーレイ・クイン」を演じるマーゴット・ロビーも出演しています。

とてもおすすめな映画なのですが、何故このワンスアポンがルックバックに描かれているのかを解説すると完全なネタバレになってしまいます……。

一つわかるのは、ワンスアポンを受け継ぎ、そしてまた別の展開で残虐な事件への想いや祈りを表現した漫画だということです。

 

ちなみに映画の内容をネタバレなしで簡単に書くと、この映画は1969年にハリウッド女優シャロン・テート(こちらをマーゴットロビーが演じています)が、カルト集団チャールズ・マンソン・ファミリーに殺害されたという事件を基にしています。

そのためこの事件について多少調べていないと映画を楽しめません。

 

この映画を日本に置き換えると、ある若手女優がオウム真理教の信者に殺害されたという事件を基にした映画、とでも言えば良いでしょうか。

映画内を見ていると明らかに「チャールズ・マンソン」を連想させる人物が出現し、観客が息を飲む場面があります。

「こいつチャールズマンソンじゃん」みたいな。

でもチャールズマンソンの存在を知らないと、スルーしてしまいますよね。

 

日本にいる私たちが「オウム真理教を基にした映画」を見ていて「髪が長く、髭を生やし、目がちょっと細めという特徴の人物」が画面に現れれば、名前が出てこなくとも「麻原氏が出てきた」と構えるかと思います。

 

ちなみに映画を楽しむための解説サイトはこちらがおすすめです。必要な情報を最小限に分かりやすくまとめています。

「シャロン・テート殺害事件」と「マンソン・ファミリー」を解説! 予習バッチリ!! タランティーノ最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

他にもその時のヒッピーが流行った時代背景などを調べると、より映画に感情移入できるかと思います。

 

京アニ放火事件への追悼

ルックバックの公開日は2021年7月19日ですが、これは2019年7月18日に発生し翌19日鎮火した京都アニメーション放火事件への追悼を込めたのではないかと思われます。

京都アニメーション放火事件:https://ja.wikipedia.org/

京都アニメーション放火事件から2年:https://www3.nhk.or.jp/

もちろん公開日だけではなんとも言えないのですが、漫画の内容、そして先に挙げた二つの要素を考えると公開日にすら意味があるのかと思ってしまいます。

 

テロや残虐な事件に対して「それでも残された人たちは前を向いていかなくてはならない」といったメッセージ性があるのかな、と。

個人の勝手な感想ですが、ルックバックを読んでそんな風に思いました。

で、まだちょっと足りないので、もうちょっと私的な感想書かせてください。

もうルックバックが良すぎてまだ感情が高ぶってるんです。

ルックバックの感想

私は藤野ちゃんと同じ経験をした記憶はないですが、なぜかどこかものすごく共感できる。

藤野の「漫画への自信」と「京本の出現によって起きた挫折」は、読む人が自分の過去にどこか重ねる部分があるのではないでしょうか。

 

そしてその後、主人公「藤野」は挫折を味合わせた張本人である「京本」と出会い、実は京本は藤野を「藤野先生」と呼ぶほどに自身を崇拝していることを知ります。

2人で話している時には嬉しさを出さずツンツンしている藤野ちゃん。

しかし帰り道、雨の中踊ってしまうほどの喜びよう。

何故なんでしょう。会社へ行く電車の中、このシーンで涙ぐんでしまいました。

 

ペンネームが変わっていなかった

2人は協力し「藤野キョウ」というペンネームで「メタルパレード」という漫画を書き上げ、コンテストで準入選を果たします。

しかし2人には別れが訪れ、藤野は1人で「シャークキック」という漫画の連載を持つことになります。

 

でもそのシャークキックの作者の名前も「藤野キョウ」なんですよね。

喧嘩別れのようにも見えた2人ですが、藤野ちゃんは待っていたんだろうなあ。

 

過去を思い出す藤野

藤野「もしウチら漫画を連載できたらさ、すっごい超作画でやりたいよね」

ー中略ー

京本「じゃあ私ももっと絵ウマくなるね!藤野ちゃんみたいに!」

京本が美大に行ったのは「背景美術の世界」に惹かれたというのも理由ですが、恐らく一番は藤野に追いつくため。

藤野もどこかそれを分かってはいたものの、離れるのが嫌だったんだろうなあ。

部屋にある何冊ものシャークキック

物語後半、亡くなった京本の部屋に藤野が入ります。

部屋には「藤野キョウ」名義であり、藤野の漫画「シャークキック」が、分かるだけでも1巻が5冊、2巻が3冊もあります。

また読者アンケートと思われるハガキも。

京本は誰よりも藤野を応援していたというのが伝わってくる描写にもう心が、、、

 

あんまりこう作品の評価で「泣いた」とか好きじゃないんですよ。

どれくらいで泣くかは人それぞれだし。

そもそも泣くことが漫画への賞賛になるかも分からない。

 

感想から妄想へ

ここからは感想でもない、ただの独り言、所謂妄想をちょっとだけ。

このルックバックを何度か読んで思い浮かんだことがある。

hideを誘ったYoshikiの苦悩

それはhideというアーティストの死。

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サーベルタイガーというバンドで活動をしていたhideは、音楽を辞め美容師として生きていこうと決心する。

しかし彼をYoshikiがX(その後のX JAPAN)に誘い、その後Xは一躍有名になっていく。

 

Yoshikiはhideの死後「自分が彼を誘わなければ」と自責の念に駆られる。

「あの人の死は自分のせいじゃないのだろうか」

身近に起こった突然の死に、誰もが一度は思うのでないだろうか。

 

この漫画ルックバックにもあるように、自分の関与は関係なく物事は進んでいたかもしれない。

hideも一度は美容師に転身するも、やっぱりと音楽に戻っていたかもしれない。

 

身近にある死は受け入れなければならない事実である。

しかし誰かが自分のせいだと責める必要はない。

この漫画はそんな「自分を責める誰か」にみてほしい漫画だなあと思いました。

 

 

この作品は多くの人に読んでほしい。

ちょっと長いけど、続きがあるわけでもないこれだけで完結する作品ですしね。

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